【運送業】物流業務の法改正 2024年6月2日付け

今回お伝えしたいこと

「2024年通常国会における法制化の検討」が国交省から出ていますので見てみましょう。
以下の公式サイトの抜粋です。

000322105.pdf (mlit.go.jp)

2024年問題の主な課題
・荷待ち荷役時間の解決 
・一人当たりの輸送量の向上
・多重下請け構造の是正による物流の生産性向上
・適正運賃の収受とドライバーの賃上げ

これらの課題解決のために、以下の法制化を挙げられています。

(1)商慣行の見直し

荷主・物流事業者間における物流負荷の軽減
②納品期限、物流コスト込み取引価格等の見直し
物流産業における多重下請構造の是正
④トラックGメン(仮称)の設置等
担い手の賃金水準向上等に向けた適正運賃収受・価格転嫁円滑化等
⑥トラックの「標準的な運賃」制度の拡充・徹底

(2)物流の効率化

①即効性のある設備投資の促進
②物流GXの推進
③物流DXの推進
④物流標準化の推進
⑤物流拠点の機能強化や物流ネットワークの形成支援
⑥高速道路のトラック速度規制の引上げ
⑦労働生産性向上に向けた利用しやすい高速道路料金の実現
⑧特殊車両通行制度に関する見直し・利便性向上
⑨ダブル連結トラックの導入促進
⑩貨物集配中の車両に係る駐車規制の見直し
地域物流等における共同輸配送の促進
軽トラック事業の適正運営や安全確保
⑬女性や若者等の多様な人材の活用・育成

(3)荷主・消費者の行動変容

荷主の経営者層の意識改革・行動変容
②荷主・物流事業者の物流改善の評価・公表
③消費者の意識改革・行動変容を促す取組み
④再配達率「半減」を含む再配達削減
⑤物流に係る広報の推進

※ピンク色マーカーの着色部は法制化検討事項

1.①荷主、②物流事業者(トラック事業者、鉄道事業者、港湾運送事業者、航空運送事業者及び倉庫業者)に対し、物流効率化のために取り組むべき措置についての努力義務を課し、当該措置について主務大臣(国)が判断基準を策定。

下表の取り組み事項が努力義務とされていますね!

2.取組状況について、主務大臣(国)が判断基準に基づき指導・助言を実施。

3.一定規模以上の事業者を特定事業者として指定し、荷待ち時間等の記録、中長期計画の作成、定期報告、物流統括管理者(特定事業者のうち荷主のみ)の選任等を義務付け。

こちらは義務です

4.特定事業者について、中長期計画に基づく取組の状況が不十分な場合、勧告・命令
を実施。

5.国は、流通業務の持続的成長・生産性向上に関する事業者の取組状況について、調査・公表を行う。

1.元請事業者に対し、実運送事業者の名称・貨物の内容及び運送区間等を記載した実運送体制管理簿の作成(様式自由)を義務付け。

2.元請事業者等に対し、下請取引の健全化に係る努力義務を課す。
一定規模以上の恒常的に下請取引を行う事業者に対し、健全化に関する運送利用管理規程の作成、運送利用管理者の選任を義務付け。

3.荷主・元請・下請間の運送契約の締結等に際して、提供する役務の内容やその対価(附
帯業務料、燃料サーチャージ等を含む)等について記載した書面による交付(メール、FAXも可)を義務付け。

軽自動車の運送業も義務化です

営業所ごとに「貨物軽自動車安全管理者」を選任・届出するとともに、以下2つの講習受講を義務付ける。
管理者講習・・・・・・・管理者の選任にあたり受講
管理者定期講習・・・2年ごとに受講

死傷者を生じた事故等、一定規模以上の事故について、運輸支局及び運輸局を通じて国土交通大臣への報告を義務付ける。

事業者に対して発出した輸送の確保命令や行政処分の情報等を国土交通省HPにて公表する。

一般貨物等の運転者に義務付けている適性診断を軽貨物の運転者にも義務付ける。
〇初任診断(業務開始にあたり受診)
〇特定診断(事故を起こした場合に受診)
〇適齢診断(65歳以上の運転者が3年ごとに受診)

〇毎日の業務開始・終了地点や業務に従事した距離等を記録した業務記録を作成し、1年間の保存を義務付ける。
〇事故が発生した場合、その概要や原因、再発防止対策を記録し、3年間の保存を義務付ける。

3つのポイント
①荷主等への適正な転嫁
②多重下請構造の是正等
③多様な運賃・料金設定等

1.荷主等への適正な転嫁

<運賃水準の引上げ幅を提示>
〇運賃表を改定し、平均約8%の運賃引上げ【運賃】
〇運賃表の算定根拠となる原価のうちの燃料費を120円に変更し、燃料サーチャージも120円を基準価格に設定 【運賃】

<荷待ち・荷役等の対価について標準的な水準を提示>
〇現行の待機時間料に加え、公共工事設計労務単価表を参考に、荷役作業ごとの「積込料・取卸料」を加算 【運賃】
〇荷待ち・荷役の時間が合計2時間を超えた場合は、割増率5割を加算【運賃】
〇標準運送約款において、運送と運送以外の業務を別の章に分離し、荷主から対価を収受する旨を明記【約款】
〇「有料道路利用料」を個別に明記するとともに、「運送申込書/引受書」の雛形にも明記【運賃】【約款】


2.多重下請構造の是正等

<「下請け手数料」(利用運送手数料)の設定等>
〇「下請け手数料」(運賃の10%を別に収受)を設定【運賃】
〇元請運送事業者は、実運送事業者の商号・名称等を荷主に通知することを明記【約款】
<契約条件の明確化>
〇荷主、運送事業者は、それぞれ運賃・料金等を記載した電子書面(運送申込書/引受書)を交付することを明記 【約款】

3.多様な運賃・料金設定等

<「個建運賃」の設定等>
〇共同輸配送等を念頭に、「個建運賃」を設定【運賃】

〇リードタイムが短い運送の際の「速達割増」(逆にリードタイムを長く設定した場合の割引)や、有料道路を利用しないことによるドライバーの運転の長時間化を考慮した割増を設定 【運賃】

<その他>
〇現行の冷蔵・冷凍車に加え、海上コンテナ輸送車、ダンプ車等5車種の特殊車両割増を追加【運賃】
〇中止手数料の請求開始可能時期、金額を見直し【約款】
〇運賃・料金等の店頭掲示事項について、インターネットによる公表を可能とする【約款】

ドライバーさん不足問題に対しては、外国人ドライバーさんの在留資格が新しく設定されています。
外国人ドライバーの受け入れには、Gマークの認証を受けていることが必要です。Gマークの未取得の方はお急ぎください。  

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