今回は「認知症対策としての『家族信託』の活用」です。
「認知症になったら自分の財産やその後の事など、どうしたらいいのか分からない」
そんな悩みはありませんか?
この記事では、認知症対策としての「家族信託」について、遺言・相続を専門とする行政書士がわかりやすく解説します。
お困りごとを解決するために、是非最後まで読んでみてください。
「家族信託」は認知症対策に有効なのか? 認知症になってしまうと、不動産の管理や処分、銀行口座の管理、相続手続きなどができなくなってしまいます。
成年後見制度は認知症になってから契約しますが、後見人に対して毎月費用がかかります。
そこで、認知症になる前に「家族信託」契約を結ぶことで、信託を委託した家族の人に、生活費や医療費を本人の代わりに管理してもらえるものです。
今回はこの「家族信託」について解説していますので、Youtubeも是非ご覧ください。
1.家族信託とは・・・
認知症になると、預貯金口座の管理や、空き家の売却や処分、遺産分割協議などの相続手続きもできなくなります。が、認知症になる前に信託契約を結んでおくことで、家族が本人のために財産を管理運用する仕組みを作れます。
2.家族信託が有効な2つの理由
本人が認知症を発症しても、信託契約を結んでおけば家族が財産を管理運用できるので、本人の生活費や医療費を確保しやすくなります。
また、本人の次に財産を受け取る人を指定できるため、遺産分割のトラブルを防げます。遺言書のように使うことができるということです。
3.手続きの流れ
①信託する財産を決め、
②誰がその財産を管理するのか、信頼できる人、例えば長男を受託者に決め、
③その財産をどう使うか信託目的を決め、
④そして最終的に誰が財産を受け取るかの受益者を決めます。
ちなみに、金銭的な財産だけでなく猫や犬などの面倒も誰かに託したいと思いませんか?
認知症になればペットの面倒も見れなくなりますが、ペットも動産として設定できるので、信頼できる人に託す契約も可能です。
信託契約は公正証書で作成することが一般的で、不動産などの信託財産を、受託者の名義に変更することになります。
もし、信託不動産の中に農地があるなら、農業委員会にも確認しておきましょう。
余談ですが、信託契約を結んで数年後に認知症になったとき、
もし信託した財産以外に管理するものがあった場合は、成年後見制度を利用するかもしれませんが、その時は、あらかじめ信託した財産はそのまま家族信託の受託者が管理することになります。
4.注意すべきポイント
(1) 契約内容の明確化
信託目的や管理方法、受益者の権利など、具体的に明記する必要があります。
もし曖昧な内容だと後々トラブルになりかねないです。
(2) 次に受託者の選定
受託者は信頼できる家族を選びますが、責任が重いので、受託者の理解と同意を得ておくことが大切です。
そして、受託者が委託者より先に亡くなることも想定し2~3人の後継受託者を順位を決めておくといいかもしれません。
(3)費用がかかる
専門家への報酬や、公正証書の作成費用、不動産登記の費用などが発生するので、よく検討する必要があります。
また、税制面の確認。信託によって、贈与税や所得税などが発生するかもしれないので、専門家の助言を受けておくことが重要です。
(4)信託財産の範囲もしっかり決めておく
信託は、全財産として信託するものではなくて、決めた財産に対して信託するということです。
(5)判断能力があるうちに契約する
家族信託は、認知症発症後は契約できないので、本人の判断能力があるうちに契約してください。早めの検討が必要です。
5.家族信託の例
認知症になった場合の介護費用を確保するため、不動産を信託し、その家賃収入を受益者(本人)が受け取る仕組みを構築し、最終的にその不動産を誰に相続するかを信託契約書に明記するします。
6.おわりに
家族信託は、認知症による財産管理の問題を未然に防ぎ、家族間のトラブルを避ける効果的な方法です。
ただし、契約内容や税務処理などには専門的な知識が必要なため、行政書士などの専門家に相談して進めてください。
まずは持っている財産や、誰にどうして欲しいかなど、エンディングノートに書き出して整理してみると良いかもしれません。
以上
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